読書記録 『4000万人の購買データからわかった! 売れない時代にすぐ売る技術』

タイトルには”すぐ売る”という言葉が使われてはいますが、”実務で成果をあげたデータ活用の本質的な考え方”のようなものを2つ、この本からは教わった気がしています。

統計学が最強の学問である』が数年前に流行しましたが、本書は概念的なところを超えて、実際に実務で応用し、どの数字にどんな改善傾向が見られたというようなところまで公開されています。

特に、楽天市場での商品販売に関わったことのある自分にとっては一層強い言葉として刺さりました。

ビジネスにおけるデータ活用の考え方に関する本質

データドリブンなビジネスというのは自分も関心があったので、統計学の理論や、データの分析の手法を学んだりして、Pythonなどで実際に手を動かしてみてKaggleなどのコンペに取り組んでみたりと、少しできる気でいました。

しかし、本書を読みながら自分がやっているデータ活用のベクトルが間違っていることを猛省することになりました。

Kaggleなどのコンペで行うのはあくまでも「モデルの精度」を競っていくものです。

ビジネスにおいてデータを活用する最終目的は利益の向上。

そのために何らかの指標を改善するために起こすべき行動をデータから見出さなければいけない。

「仮に精度100%の最強のモデリングができたとしても、ビジネスにおいては、そこから何かを改善して利益向上につながらないデータ分析に意味はない」

という一番忘れてはいけないデータ活用の本質を本書には強く心に刻んでいただきました。

実務に適したデータ分析の本質

今回僕は本質本質と言葉を多用しているのですが、もう一つの本質的なところでの学びは作者あとがき的なところに当たる「おわりに」から得ました。

著者の大原さんが10万円のメルマガでコケたときの話です。

もちろんセールストークだったのかもしれませんが、実際の結果よりも高いコンバージョンの見込み(データ)があり、メルマガ自体もセールスライティングを学び統計的に売れやすい文章も適用していますが、失敗したそうです。

弘法にも筆の誤りといった意味ではなく、「単にデータを分析して得た知見を活用するだけじゃ意味がないんだよ」というメッセージに感じました(僕の度を過ぎた深読みに過ぎませんが……)

この体験談を読んでいるときにある記事(“When Big Data Isn’t an Option“(strategy+business, 2014)を思い出しました。

この記事ではLittle dataを活用するために必要なこととして、以下のように指摘している。(bigではなくlittleであることは気にしなくて良い)

1.事実に基づいた意思決定(競争優位をもたらす)

2.trial and errorから学び取っていくという意思(ユニークな経験や成功をもたらす)

3.創造性(より良いデータの取得や解釈をもたらす)

まさに『4000万人の購買データからわかった! 売れない時代にすぐ売る技術』で公開されたことに符号すると思う。

著者の成功は楽天という大企業に良質で膨大なデータがあったからできたという特殊な事例などでは決してなく、

現場をよく知り、コンテクストに沿ったデータを集めて、

問題点を細分化して、丁寧にデータを比較する。

と、いうようなことを根気強く、細かく、丁寧に行って自分の事業ドメインで通用する知見を蓄積していく事がデータ活用の肝であり、どんな企業にも当てはまるんだよ。

というメッセージとして僕は受け取った。

データ分析の高度な手法に関する手法や数学的な側面ばかりに意識が向いていた自分に取っては特に、本当に学びのあるものだった。

ぜひ、より込み入った内容の続編が読みたいと思ってしまった。

(NDA的に無理という可能性は大いにあるけれど笑)

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